Monthly Archives: October 2011

仮設住宅への支援

News 仮設住宅

「ようやく、自治会が出来ました」そう報告されたM氏は、
下北谷地(上下堤)仮設住宅で、自治会長を請け負っているという。
「凄く、盛り上がって来ましたよ」そう加えたのはM氏の奥様である。
交流も度重なり、打ち解けたせいもあるかも知れないが、
溌溂とした声だったことが、印象深い。
「自治会を立ち上げた」それが、大きな勇気になったに違いない。

下北谷地の仮設住宅は、55戸と規模が小さく、
コミュニティー作りには、適しているかも知れない。
それでも、集会場に作った談話室を、
活発にするために、色々と腐心しているらしい。

談話室 談話室
因みに、一ヶ月前には机すらなく、炊き出しの際、市の担当者に電話をして、
机を三脚、届けて貰った程だった。[当時の様子

今では、本棚も置かれ、ちゃぶ台もある。
また、炊き出し隊が訪れる際、心地よく過ごして貰うため、
様々な工夫もしている、そうである。
また、訪れた方たちに、寄せ書きをしてもらおうと、
壁に、模造紙まで貼ってある。

そこまでしているにも関わらず、
仮設住宅の規模が小さいという理由で、
炊き出しの予定がキャンセルされる事もあるらしく、
その時は、非常にショックを受けたという。

支援で現地に行かれている方は、お判りと思うが、
被災した方々は、食うにひもじくて、炊き出しを望んでいるワケではない。
自力で、どうにもならない困難に直面して、
そこに、救いの手を伸ばして貰っていることが、
生きる勇気に、繋がって行くのだ。

掲示板

こうして、新たに創設された自治会が、
同仮設住宅の各家庭に、暮らしていく上で困っていること、
必要なモノ等があるか、アンケートを取り、
それを、まとめて市に要望書を出したのだそうだ。
その要望書と、東松島市の回答を拝見させて頂いたが、
30項目に渡る要望に、市は前向き且つ迅速に、
対応する姿勢が伺えた。
談話室には、インターネット用のパソコン等も設置されるそうだ。
前述した、机を届けて貰った際も、
快く素早い対応で、市の支援が確実に機能している、
印象を受けたのを、覚えている。

 
 
東松島市が対応する防寒対策の予定表

今、要望されていて、市の対応が追い付かないのは、
個人の冬物用品、掛け布団、毛布等である。
それでも、住宅に断熱材を入れる、暖房器具を増やす等の計画が、
今後、予定されており、その対応の結果で、
要望も、変わって来るかも知れない。

現在、最も必要とされている支援は、
こうした、自治会等の「コミュニティー作り」と、
雇用の創出である。

近くの、ひびき工業団地仮設住宅に住んでいらっしゃる、
ワカメ養殖の漁師さんは、大きな設備投資をした後、
津波に遭い、養殖に使う船も、加工する機械も、
更には、流通経路すらないという。
こうした事態は、個人の力ではいかんともし難く、
ボランティア団体の支援等々が、必要となって来るだろう。
松島湾の復興

震災半年を過ぎて、ボランティアの参加人数は、
約半数に、激減したという。
また、自立を促すために「支援は不要だ」という意見もあった。

今、必要なのは「自立支援」である。

津波被害に遭った人たちは、単に住宅がないだけでなく、
職場や、仕事道具の一切合財を失っている人も多い。
そこが、阪神淡路大震災等と、今回の震災の大きな違いである。
仕事をすれば、自立に繋がるというが、
仕事がないのだ。仕事を造るための支援は、
必ず、必要である。

下北谷地(上下堤)仮設住宅がある野蒜地域は、
市民の足である仙石線の開通に、
約3年、かかると見られている。
また、津波で破壊された堤防の修復も、
まだ、手付かずの状態である。

復興とは、辞書によると、
いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ること。盛んにすること
と、ある。もとの盛んな状態に返すためには、
まだまだ、様々な支援が必要だ。

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仮設住宅の問題

仮設住宅(正式名称:応急仮設住宅)は、
昭和22年に制定された災害救助法で、設置が定められている。

その詳細は内閣府「災害対策関係」に記載されている。

新潟中越地震を例に取ると、仮設住宅の退居数は、
1年4ヶ月で、約2割程度。
いかに、自力での復旧が困難かが判る。
降雪地の仮設住宅は通例、
耐雪2m,天井裏の断熱材100mm という設計がされるという。

しかし、結露や雪解けによる水滴が、隙間から漏れ出し、
雨漏りのように、床を濡らしたり、
最悪の場合、配電盤をショートさせることも、あったという。

結露 屋根裏 結露 室内 結露 配電盤

また、屋根が雪の重みに耐え切れず、歪むことにより、
部屋の各所に、隙間が出来るという事例もある。

屋根の積雪 積雪 屋根の変形

また、春先に雪が解ける始めると、排水口の不備により、
地面に、水たまりが出来るという事態も起こった。

排水不備 排水口 不備
※出典:『仮設住宅の居住性

こうした状況は、過去の事例から、改善されている筈だが、
想定の範囲を超える気象状況になるとも、考えうる。
地元住民の協力により、仮設住宅の設計図面や、
家内設備の写真等を頂戴した。

 

◇仮設住宅の間取り

仮設住宅 間取り図
Click にて拡大

上記が、標準的な2~3名用仮設住宅で、
4畳半二間に、キッチンと台所が設置されている。

間取り図 1人 間取り図 4人以上

上記は1人用(左)と、4人以上用(右)の間取りである。
内観は、以下の通り

◇キッチン

キッチン1 キッチン2 キッチン3

キッチンには、シンク(流し台)の他にふた口のガスコンロが設置。
更に、自前のコンロをもう一台、置くスペースがある。
しかし、火力を上げると、側面の壁(ステンレス)が焦げる程で、
スペースに、余裕はない。

◇浴室他

洗濯機 浴室

◇居住空間

支給される布団 室内の一隅 押入れ

2~3名用の四畳半二間の内、一室に冷暖房が設置されている。
また、冷蔵庫、洗濯機等、一部の家電は日本赤十字社から、
提供されている。

仮設住宅において、一番の大敵は、結露である。
壁は30mm のウレタン断熱材が入っているが、通気性に乏しく、
室内で温められた空気が、天井の雪で冷え、結露が発生する。
すると、雨漏りする屋根のように、床に、茶碗やバケツを置いて、
滴る結露を受けなければならない。

一部では、電気毛布やホットカーペットの支援が、
検討されているという。
また、今後は屋根の雪かきなどのボランティアも、
必要になろう。

支援する側にも、仮設住宅の状況を把握した上での、
心構えが必要と思われる。

SINCE311 被災地の軌跡 仮設住宅

仮設住宅の立地

東松島市の仮設住宅は1753戸で、
被災者全ての要望に、応える数が建設されている。
宮城県 土木資料

東松島市仮設住宅

今回、上北谷地応急仮設住宅の住民に協力を得て、
仮設住宅の現況や問題点を、
数回に渡って、お伝えしたいと思っている。
冬場、現地に足を運ばれる支援者の、一助になれば幸いである。

当該問題の詳細は、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターのHP、
避難所・仮設住宅・在宅被災者問題]にも、掲示されている。

上北谷地仮設住宅
上北谷地仮設住宅は、三陸自動車道の脇に建設されている。
鳴瀬奥松島ICから程近い、車の便が良いところだ。

上北谷地仮設住宅

現在、この仮設住宅には55戸が建設され、
被災者の入居も、ほぼ完了している。

配置図
上北谷地サイン 上北谷地仮設住宅

周囲の状況からすれば、徒歩での通勤通学が些か不便な他、
近くに高架、丘陵地がある為、騒音や土砂災害などの可能性も、
あるかも知れない。
しかし、仮設住宅は、長い避難所生活を送って来られた方にとって、
憩いの場であることは、間違いない。

仮設住宅から見る三陸自動車道

仮設住宅から見る三陸自動車道

仮設住宅内には、貯水タンクの他、LED照明、消化器等が、
設置されている。

貯水タンク LED街頭 消化器 電気給湯器

また、電気、水道、LPガスも当然、各家庭に設置されている。
但し、料金は個人負担である。

LPガス 物置、電気設備等 玄関灯

電灯なども、各地に配置され、
最低限の安全には、配慮がなされているようだ。

また、特筆すべきは、集会場の設置で、
仮設住宅地でのコミュニティー形成や、高齢者の孤独死問題解消等に、
非常に、有効に活用できる。
日本赤十字[応急仮設住宅の設置に関するガイドライン]にも、
阪神・淡路大震災で、空室を利用した「ふれあいセンター」が、
有効に機能した旨が、事例として記載されている。(P51)

仮設住宅集会場・外観 集会場スロープ

集会所内の様子については、
孤独死問題を考える]で、紹介している。

集会場の利用は、各地元紙等にも取り上げられ、
被災からの自立や、コミュニティー形成の成果が、
記事となっている。

News 仮設住宅

今、求められてるのは、支援者と被災地の方々が、
一体となった、豊かな関係作りではないだろうか。

仮設住宅の課題

2011年10月11日 被災地の仮設住宅では14時48分 各地で黙祷が捧げられた。
・NHK [震災7か月 仮設住宅で黙とう
一方で、
・時事通信[不明者なお3923人=仮設住宅98%完成
と、いう厳しい現実も明らかになった。

また、同宮城県石巻市では、東松島市から一ヶ月遅れて、
最後の避難所が、閉鎖となった。
・産経新聞[石巻市で避難所閉鎖へ 最大時5万人が利用
被災地は、間もなく訪れる冬に向けて、慌ただしく準備を進めている。

最後に仮設住宅を訪れたのは、9月初旬。
まだ、残暑厳しい最中のことであった。

ひびき工業団地 SLIDESHOW
ひびき工業団地
上北谷地仮設住宅 上北谷地仮設住宅
上北谷地仮設住宅

かつて、阪神淡路大震災や、新潟中越地震で経験したように、
仮設住宅で、一番の課題となっているのは、
「孤独死」の問題だ。[仮設住宅の生活
無論、それだけでは無い。
一般家庭が遭遇する、騒音問題や隣人同士の軋轢など、
小さなイサカイも必ず起こる。
こうした現状には、警察が細心の注意を払って、
各仮設住宅を巡回している。
我々が、現地に行った際には、沖縄県警のパトカーと遭遇するなど、
警察は未だ、多くの人員を割いて、被災地の治安維持に当たっていた。

こうした問題の解決には、被災によって崩壊した、
地域コミュニティーの再建が、不可欠となる。
全く知らない者同士が突然、トタン一枚隔てた団地に済むのである。
互いに、よりよい生活の工夫が、必要だろう。

もう一つ、仮設住宅には、冬に向けての大きな課題がある。
それは、寒さ対策。越冬準備である。
仮設住宅の設備は、各自治体によって、様々なようだ。
宮城県の対策が不十分だとの報道も、一部にはある。

・毎日新聞[仮設の冬、不安抱え 寒さ対策、後手

被災地に家族や知人の居る方々は、
当然、防寒対策の支援を、お考えであろう。
しかし、幾つかの注意点があるようだ。

仮設住宅の壁は30mmウレタンの断熱材があるのみで、
結露を生みやすく、「化石燃料ストーブの支援は不可」と、
現地には、通達されているらしい。

以下は、自治体が配布した、防寒対策の告知である。

防寒チラシ1 防寒チラシ2

また、厚生労働省も、被災地の防寒具配布に乗り出している。

・朝日新聞[仮設住宅の石油ストーブ・こたつに補助 厚労省

震災直後も経験したことだが、
被災地のニーズと、支援者の意図はには少なからず、齟齬が生まれる。
今後、仮設住宅の越冬について、細やかな情報を、発信して行く。

SINCE311 仮設住宅 仮設住宅の生活

要望書-住民の足

News 仙石線

宮城県東松島市の避難所が閉鎖されて、一ヶ月。
仮設住宅での暮らしも、少しずつではあるが、形になり始めている。
しかし、そこで枷となっているのは、住民の“足”である。
地元の欠かせない“足”である仙石線の被害については、前述の通りである[仙石線

仙石線

地元では、仙石線の不通区間において、様々な問題が、噴出している。
そこで、地域一丸となって、要望書を集めているという。
特に、問題となっているのは、

・不通区間の運行バスの本数が少ない
・バスに乗車制限があり、非効率である
・通勤に自家用車を使う人が増え、渋滞が慢性化している

通常、1時間程度で済む石巻-仙台間を、
2時間以上掛けて、通学している学生もいるという。

仙石線[高城町-矢本]運転見合わせ詳細(JR東日本)
仙石線<松島海岸~矢本間>代行バス時刻表(JR東日本)

以下に、住民が集めている要望書を添付した。

JR仙石線の現況路線仮復旧による早期運行再開に対する要望書

要望書表紙要望書本文
Clickで拡大

内容を読めば判るが、復興の兆しがあるといえど、
未だ、被災地はインフラすら復旧していないのが、現状である。

仙石線周辺地図
あおば通-石巻

仙石線路線図

仙石線路線図 高城町-矢本 間にて不通

間もなく、被災地は冬を迎える。
車を流された被災者や、運転できない高齢者にとって、
仙石線不通の影響は、余りに大きい。
一刻も早い、復旧が求められている。

しかし、10月1日に地元自治会とJRが合意した、
仙石線 野蒜駅・東名駅 移設案の完成は、
三年以上かかると、見られている。