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東松島のワカメ

平成24年度4月1日から、
食品中の放射性物質を規制する基準値が見直され、
一般食品で、5分の1。
乳児用食品で、10分の1に、変更される。

その理由として、
より一層、食品の安全と安心を確保する観点から
と、厚生労働相は、資料の中で説明している。

食品の放射性物質の
新たな基準値について
』(厚労省PDF)

また、その検査方法も法令で、
様々、指定される様になった。

食品中の放射性物質の試験法の取扱いについて

これにより、福島第一原発の隣接県等は、
独自に、より厳しい基準を設け、
更に、各生産者団体も、様々な対応を検討している。

放射性物質検査を考える (農協新聞)
水産物セシウム新基準値に対応 宮城県が連絡会議設立

その中で、『東松島のワカメ』も、販売を開始し、
間も無く、旬を終えようとしている。

被災地から届いたワカメは、
下欄写真のように先日、送られて来た。
東松島ワカメ

塩蔵ワカメ ワカメの茎

上記のワカメは、漁協および企業による、
二重の検査を受けて、市場に送り込まれた。
ワカメの放射能検査値
ワカメの収穫は通常、3月末までといわれ、
最盛期は終わったが、
今後、被災地では、新たな収穫を迎える農海産物について、
更なる対応を迫られる事となる。

長引く原発事故の影響は、
農地や海洋の汚染に留まらず、
対応に追われる生産者にも、多大な影響を及ぼしている。

今後は消費者、生産者、双方の慎重な対応と、
正しい知識が求められる事になるだろう。

【特集】復興への飛躍④

3月10日復興イベント 野蒜小学校素振りイベント

News『今、スポーツは「東松島市立野蒜小・尾形凌君」』(日刊スポーツ)
News『迫る津波…心支えた「ファイト!」 宮城・野蒜小』(産経新聞)

About 『野蒜小学校


東松島にはB級グルメがない。
「ワカメを東松島の新たな名産にしよう」という取り組みの中で、
地元にB級グルメを作ろう。と、いう試みが始まった。

震災当時から、継続支援をしている方の中には、
料理研究家もいた。
ぜひ、色々と試してみようということになった。

「生ワカメのしゃぶしゃぶ」というのは、絶品らしい。
しかし、その他の料理への取り組みも始まった。
写真は、『七隈っ隊』の池下氏宅で行われた、ワカメ試食会の様子である。

ワカメしゃぶしゃぶ

ワカメしゃぶしゃぶ

ワカメ餃子

ワカメ餃子

ワカメパスタ

ワカメパスタ

ワカメ試食会

その他、様々な料理が試作された。
七隈っ隊HP『ワカメの試食会を開きました
3月10日、11日には現地に赴き、ワカメ料理の炊き出しを行う予定だ。

こうした試みの先には、ワカメ市場の開拓と、
地元の雇用促進も見据えられている。
ワカメのB級グルメを地域に根付かせ、
いずれは現地工場を作って、雇用の促進やワカメ流通の安定に、
ひと役、買おうというのだ。

震災から一年が経とうとしている。
津波の怖ろしい映像で、震災の悲惨さを思い出すのではなく、
こうした試みが、例えば東松島のワカメ料理が、
全国の消費者に届くことで、被災地が思い起こされれば、
それが、希望の復興便りになるに違いない。

今、東松島は正に、飛翔しようとしている。(了)

【特集】復興への飛躍②

東松島ワカメ 東松島ワカメ

これは、2月2日、3日に渡りパシフィコ横浜で行われた、
震災対策技術展』で配布された、チラシである。
裏面には、復興に賭ける地元の方たちの決意が込められている。

1月下旬、東松島にワカメの収穫時期が迫った。
東松島の漁師、尾形さんやワカメ・プロジェクトのリーダー宮澤さんは、
前述の『震災対策技術展』に、ワカメ製品の出品を検討していた。
しかし、ワカメは例年よりも成育が遅く、
出品時期に収穫が間に合うかが危ぶまれる事態となった。
更に、頭を悩ませたのが、『放射能問題』であった。

プロジェクトは地元の漁師さんと、都心に住む支援者で、
構成されている。
都心の支援者は特に、放射能汚染問題にこだわった。
ワカメを販売するには、信頼たる機関で行われた放射性物質の検査で、
国が定めた基準値を、最低限パスしていなければならない。
と、いう意見が一部にあった。

放射能の海洋汚染については、宮城県が運営する、
放射能情報サイト
が、空間線量の他、港湾の測定結果も、
逐次、公開している。線量、測定値共に、問題ないと判断された。
しかし、実際の商品で測定結果が出ていないことには、安心出来ない。
収穫したワカメの検査は、東松島宮戸漁協を通じて、
行われる手筈であったが、検査結果が出るまでには、時間を要した。
万一の事態があれば、東松島の名に傷を付けかねないとして、
宮澤さん達は、慎重な対応をする結論を出した。

そして、2月2日。『震災技術展』が開催された。

七隈っ隊平川梅村 七隈っ隊梅村
応対する宮澤夫妻

宮澤さんたちは、この技術展で、ワカメの販売を取り止めた。
放射能検査の結果が出るまでは、『塩蔵ワカメ』のサンプルと、
販売予約のチラシのみ、配布をすると決めたのだった。
それが、冒頭に添付したチラシである。
右手にあるチラシ(裏面)の問い合わせ欄は、
尾形さん、宮澤さん共に仮設住宅の住所である。

地元の方たちは、この仮住まいから、新たな一歩を踏み出そうとしていた。(つづく)

※次回は、放射能検査との戦いと東電賠償問題について。

帰りたい風景

News 松島湾][English

尾形さんが撮影した松島湾

宮城県東松島市ひびき工業団地仮設住宅に入居している、
漁師の尾形さんから、お渡ししていたカメラが届いた。
丁度、お盆の頃だったが、体調を崩されていて、
「郵送が遅くなってしまった」と、手紙が添えられていた。

写真は、一見すると美しい松島湾の風景に見える。
尾形さんから送られてきた写真のほとんどは、
海の写真だった。
無残に積み上げられた瓦礫の山ではなく、
穏やかな海。
そこに、尾形さんは何を見、感じたのだろうか。

種花ALBUM

松島湾は、かきの養殖で有名な地域である。[松島湾の復興
尾形さんは、かき養殖を生業としている。
かきは、ホタテの殻に稚貝をつけ、竿が立てられた養殖場で育てられる。
その養殖場一帯が、津波で全壊した。今年は全く漁が出来ないという。

その修復作業の写真を、前回うがった時に、拝借してきた。

流された記録

「帰りたい風景」それは、帰れない風景なのかも知れない。
しかし、海は刻一刻と姿を変え、育って行く。
来年、尾形さんが育てた、美味いかきが喰えるに違いない。